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やっぱり一匹狼 [雑感]

 小劇場界においては一匹狼をきどった言動が多い俺だが、「一匹狼」は基本かっこいいので、「本当はそれ程でもないのに、かっこつけたいがために誇張して言ってるんじゃない?」と、人に言われそうだし、自分でもふとそういう疑念はわかないでもない。まあ例外的に交流のある演劇団体も2つぐらいはあるし、「一匹狼」が正確な表現じゃないのは分かってるよ。

 だが、基本自分とこ以外の小劇場は基本的に嫌いだな。敵だよ。敵。

 昔、新感線ってとこの某役者に偶然会うことがあり、向こうが何故か我々のことを知っており「あなたがゴキブリコンビナートですか。一度見たいと思ってるんですよ」とまで言われたが、「僕も新感線一度観たいと思ってるんですよ」とは返せなかった。こういうのは、社交的あいさつというものであり、嘘で塗り固めた言葉の応酬が常識なので、そう返すべきだったのだが、ダメだった。だって別に観たくないもん。こんな性格だから制作弱いんだろうな。
 「だって観たくないもん」って書いたが、実はそれに対しても疑念が芽生えることがあった。単に食わず嫌いなんじゃないか?実際観たら面白いんじゃないか?一匹狼を気取りたいからそう自分に暗示をかけているだけではないか?
 未だ見たことない新感線に対するイメージは、「観た後何も残らなくていいから、とにかく派手にやる。照明も視覚的な仕掛けもこけおどしでいいからとにかく豪華に」ってな感じだった。はっきり言ってそのコンセプトには全面賛成である。演劇のアトラクション化を目指す俺に反対する理由はない。だとしたら、やっぱり食わず嫌いで、実際観たら面白いのではないか?
 だが...

 久しぶりにバルト9行ったら、例によって「ゲキ×シネ」とかいうやつを大々的に広告していて、予告編を観ることになった。新感線のお芝居のダイジェスト的なものがスクリーンに流れた。

 やっぱり嫌いだよ、俺、コレ。

 セリフのトーンとか、ギャグの作る空気とか、全部イヤ。不快。気持ち悪い。ミュージカル的な演出もちりばめられているんだが、何故ミュージカルをやるかの理由が俺と全く違うのが明確に伝わってくる。どうイヤなのか論理的にここで説明することは出来ない。生理的な部分もあるから。人間の種類が違うとしか答えられない。
 やつらもゴキブリコンビナートに気持ち悪いなんて言われたくないだろう。「気持ち悪いのはお前だ」と返したくなるだろうが、それで結構だと思った。そういう関係性なのだ、人間の種類として。
 だが、思うのは別に新感線だけが、特別気持ち悪いわけじゃない。新感線に罪はないのだ。小劇場というのはそういう場なのだ。ああいうのが気持ち悪いという俺の気持ちを分かってくれる人間はこの小劇場界にはほとんどいないだろう。だが、俺は思う。世間一般の感覚として俺の抱いた気持ちは決してマイナーではない。あれを気持ち悪いという人は小劇場の外にはいっぱいいるはずである。
 ちなみに「なんでもいいから派手にやれ」コンセプトといえば、他に劇団四季とかが思い浮かぶが、四季の芝居は別に気持ち悪くなかった。TVドラマやアニメ、映画等で行われるお芝居的な事象全てが気持ち悪いわけではない。小劇場とその界隈に蔓延するある種のセンスに拒絶反応があるようだ。どこからどこがダメなのか?何は許せるのか?今後も検証していきたい。
 とにかく、「よく知らないから明言できないけどどっちかっていうと嫌いかな?」という印象だった新感線が「明確に嫌い」になった。それと、「食わず嫌いでたいした根拠もないのでは?」という疑念が多少軽減され、「やっぱり一匹狼でいいや」との決意を新たに固める俺なのであった。

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