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芸人バーまた行きたい [雑感]

 その頃、俺は設備雑工の仕事でとある建築現場に通い詰めていた。そこで行われた俺と親方との会話。
「中野に女芸人を集めて接客させているバーがあるらしいっすよ」
「へえ。可愛い娘いるのかなー、そこ」
「いや、きっとアジアンの隅田とかたんぽぽの川村とかそういうのばっかですよ、きっと」
「行きたいねえー」 

 と、いうことで意気投合し、俺と親方と二人、とある土曜日の夜に訪ねてみることにした。そのバーは中野と新中野の中間地点、どっちの商店街からも外れたただの住宅街の中に立地する。入れ替わり立ち替わり合計4名の女性とお話しすることが出来たが、期待通り全員ブスだった。3人はデブ。TVで見る有名女性芸人もデブ率高いけど、芸人の卵さんたちもやっぱりそうなんだー。そして、もう1人はデブじゃないし、それほどブスでもなかった。ただしスラブ人。中央アジア近辺の旧ソ諸国のうちのどれかの出身だと言ってた。どの国だったかは忘れた。だってあの辺国がいっぱいあってどれがどれだかすぐ分からなくなるじゃん。

 何をしゃべったか余りよく覚えてないが、楽しかった。キャバクラなんか行っても共通の話題なんてなく、沈黙が流れ、必死に話題を探し、話題を見つけてもたいして盛り上がらないので何とか面白くしようとがんばり、とにかくがんばり、「俺は高い金を払ってなんでこんなことしてるんだ」という暗澹たる気持ちで店を後にすることが多いわけだが、そんな風にはならなかった。音楽の話とかしてたかなー。当時日本の歌謡界は享楽的なダンスミュージックが著しく後退し、センチメンタルまたは励まし系なバンドばかり流行ってたので、「昨今の日本のポップスはダメ。韓流の方がマシ。でもフェアリーズは頑張れ」みたいな話して盛り上がった気がする。ブスとはいろいろと話が合うことが分かった。ブスの方が楽しくしゃべれる、それは男として幸せなのか?まあ今は深く考えないでおこう。

 そんなわけでまた行きたいと時々思う。芸人目指すブスの方々とまた楽しく話したいなー。本公演おわってからだな。

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