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音痴に関する恐るべき事実 [活動記録]

 ミュージカル劇団だし、ライブっぽいこともやるので、稽古場では歌を作ってきて「こう歌うんだよ」と指導するということをしょっちゅう行ってるわけだが、当然すぐ習得する人となかなか身につかない人と差が出る。
 下手な人のレベルはこういっちゃあなんだが、毎回ビックリする。例えば「やまだ」という歌詞があって、全部音が「ラ・ラ・ラ」だとする。何かの理由で間違って伝わって、「ラ・ラ・ド」と最後の音を上げて歌ってしまっているメンバーがいる。「や」と「ま」はちゃんと歌えているので、当然、「『だ』は前の音と同じ音だよ」と教える。ところがある者はもうここで脱落する。「歌詞が違うのに同じ高さの音を出す」というハードルを越えられないのだ。
 あるいは、欲しい音と違う高さの音で歌ってくるので「もうちょっと上げて」とか「下げて」とか言う。これが「短3度あげて」とかだったらやはりそれなりに訓練された人じゃないと対応できないだろう。だが、それ以前の段階で「上げて」「下げて」でつまづく。言われてもきょとんとしている。「今出した音より、ちょっとかいっぱいか分からないけど、とりあえず高い音」という概念がそもそもないようだ。音程変えずに声色だけ変わったりして時に面白い。
 そういう方はだいたい和音の概念がないので、伴奏のコードにない音を平気で出してくる。伴奏は三和音なのに主音の半音下の音とか出してきて、聞いてるとぞわぞわしてくる。歌ってて気持ち悪くないのかと、思うが和音の概念がないと平気みたい。伴奏が3和音出してるとき、主音の半音下の音で歌うとメジャーセブンスになり、単純に3和音後ろでなってるときにメジャーセブンスかぶせるという、逆にある意味レベルが高くないと出来ないことを平気でやってのけるのである。
 で、まああれこれ苦労してなんとか時々外しながらも歌えるようになったとする。で、「キーがちょっと苦しそうだな」と思ったりして、翌日にはキーをちょっと上げたり下げたりした伴奏を作ってくる。そうすると、すごいことが起こる。なかなか歌えなかった人に限って新たに作ったキーとかお構いなしに前の音程のままで前と同様にちょっと外したりしながら歌うのである!
 俺は逆に絶対音感とかなくて、キーとか変えられても気づかずそのキーで歌ってしまうので、驚いてしまう。伴奏との関係である高さの声を出すのでなく、絶対的な音の高さで歌を覚えようとしてるなら、そりゃー歌を覚えるのも大変だろうなと思う。立ち向かってるレベルが高すぎるよ!
 コードの感覚は訓練次第で身につく。小学校の頃「ドミソ、ドファラ、シレソ」をピアノで先生がならして、どの和音か当てるっていうのをやって俺は平均以下だったが、今そんなのやってもきっと外すことはない(複雑な和音だと自信ないけど)。メンバーの皆さんがんばって下さい。
 なんて俺らしくもない前向きな励まし書いちゃったけど、絶対音感ってのは神から選ばれたエリートだけに備わった希有の能力だと思ってたし、世間でも絶対音感なんて聞くとなかなか手に入らない強力な武器ってことになってるが、そうではなく、音痴、歌のうまい人関係なくある程度備わってたり、備わってなかったりしていることが分かったのである。
 まあ俺なんかが作るレベルの曲は絶対音感とか逆にじゃまなので、いったん忘れて(無理か?)コードの感覚を身につけて下さい。むしろ。


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