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抗菌砂場 [雑感]

近所の保育園に抗菌砂場というのを見つけ、衝撃を受けた。

今はそういう時代になってるのかー!恐るべし、現代!

去年新小岩劇場で公演したわけだが、劇場を運営しているのは風の旅団とか、曲馬館とかあの辺の人たちで、俺なんか足元にも及ばないドアングラな方々が管理スタッフとして回りをうろついていたが、ガキにメット被せているパパアングラがいて、強烈な違和感を感じたものだ。

普段は機動隊と衝突とかしてるくせに、ガキにメットかよ!

ところが後で知るのだが、「ガキをチャリに乗せて二人乗りするときはメット被せること」なる法律が出来ていたのだ、知らない間に。いくら常日頃から反体制運動に精を出してるとはいえ、自転車乗る度に交通課を挑発しても、それはナンセンス!(←きっと彼らの用語)ってもんだろう。

どんどん安全管理、セキュリティーの高度化、過敏な健康志向が社会で進行している。自動車は後部座席もシートベルト。まだしてなくても黙認つうか即取り締まられたりしないので、誰もしてないが、そのうち車に乗る人はみんなメット被って乗る時代が来るかも知れない。

工事現場行っても安全管理はそれはそれは厳しく、星一徹みたいなノーヘルでランニング一枚でツルハシ振ってる人などもはやいない。ドカタも軟弱になり、ブルーカラーのワイルドさもそれにしたがって低減しているような気がする。

そうすると俺たちがゴキブリコンビナートで提示しているような世界観は古き時代へのノスタルジーなのか?と自問し始めてしまう。現代社会をリアルに切り取ってなどいなくて、昭和への懐古的気分を表現しているのではないかと。昭和とは?それはドカタが怖くて、ヤクザももっと怖くて、ヤンキーも本当に怖かった時代。俺たちは時代の流れに逆行しているのか?アナクロなのはまあいいけど、ノスタルジーはちょっと・・・

だが、抗菌砂場を見て、それはそれでいいのかもと思った。抗菌砂場なんてものを見たときに強く感じる違和感。それが今のモチベーションを支えている気がする

だが、俺も親になったら「抗菌砂場」を歓迎してしまうかも知れない。自分のガキが通う保育園が抗菌砂場じゃなかったら「なんで抗菌にしないんですか?」と、抗議してしまうかも知れない。あるいは自分が保育園の管理側だったら、そんな抗議が怖くてついつい抗菌砂場の導入に積極的に乗り出してしまうかも知れない。

個人情報の厳重な保護、禁煙化、シートベルトやヘルメットやらの義務づけ、ホームレスの市街地からの締め出し・・・この現代の傾向の一つ一つの項目に反論はない。だが、全体としてみると何か異を申し立てたくなるそんな気持ち。各論では納得しても総論では「ちょっと待って」と言いたくなる矛盾した気持ち。逆に言えば、「もっとアバウトでもっとおおらかでいいんじゃないの?」と主張したくても具体的に「これは?」「これは?」と示されると反論できなくて困ってしまう気持ち。

そんな気持ちが俺の現在の創作意欲の土台になっている、きっと。

そんなわけで「ゴキブリコンビナートの基本コンセプトは?」と、訊かれたらこう答えよう。

「アンチ抗菌砂場です。」


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